強化恵比留シナリオ考察+α
※2022年3月8日にTwitterで公開した内容の再録です。当時の情報で作成されております
上記考察記事の内容を踏まえて強化恵比留のメインシナリオを順になぞり、作中の各描写に私の個人的な解釈や感想を付与していきます。
強化恵比留は6月4週の選択肢によって以降のルートが大きく変わるので、
「心に正直になれ」を選んだ場合をトゥルールート、
「弱い心と決別しろ!」を選んだ場合をバッドルートとします。
トゥルールートはデッキにルミナちゃんが入っているかで展開が変わるため更に2つに分け、下記の順序で解説していきます。
●OPから6月4週まで
●ランダムイベント
●トゥルールート(ルミナちゃんデッキ入り)
●トゥルールート(ルミナちゃん無し)
●バッドルート
OPから6月4週まで
OP
OPで小さくなった闇野のシルエットが映り、不穏な雰囲気を演出します。
側頭部や前髪にあるハネが見えずエビキャ特有の凹凸が確認できるため、大きいシルエットはエビキャをかぶった闇野です。
今回の闇野は通常恵比留とは異なり1年時から活動しているため、目的達成のためのエネルギーがある程度集まっています。
似たような状態で2年8月に入るシナリオとして強化円卓があるので、強化恵比留は強化円卓のIFルートか前日譚に近いのではないかと個人的に考えています。
闇野が魂を集めることには何かの「目的」があるのですが、それが何なのかは未だに謎です。
(強化円卓・無限地下牢と絡めて推測は出来るのですが明言するには至りません)
8月1週~
エビルキャップに保管されていたエネルギーを元に、ルミナちゃんが発生します。
それと同時に闇野の魂がルミナちゃんに奪われるため、身体が少年の姿になってしまいます。
闇野はルミナちゃんの影響を受けてしまう状態になり、言われるがままに彼女を従妹だと思い込んでしまいます。
以後、この特殊な条件下でシナリオが進んでいきます。
9月2週~
チームの結束を強めるためにカラオケに行きます。
後の5月2週でルミナちゃんに御厨ちゃんの魂のエネルギーが入っていると分かるのですが、この時点で御厨ちゃんがルミナちゃんに懐いている(近くにいようとする)描写があります。
通常恵比留9月4週でもチームメイトの仲を深めるイベントがありますが、秋祭りに行く通常恵比留に対し、強化恵比留ではルミナちゃんの提案でカラオケに行きます。
パワプロ界には「歌うことで魂が浄化される」という設定があり、御厨ちゃんとのデートでその情報を得ることが出来ます。
ルミナちゃんが通常の人間ではなく魂のエネルギーで出来た存在であることや、彼女の所有する魂の中に御厨ちゃんのもの(つまりは御厨ちゃんの記憶情報)が含まれることがカラオケを選んだことに関係していると深読みすることもできます。
10月2週~
秋季大会で敗北します。
闇野は計画が上手くいくかを心配しています。
また、この時点でもエビキャのエネルギーが足りていませんが、その原因については後に6月4週のところで解説します。
闇野がルミナちゃんに子ども扱いされて怒っていますが、コンボイベントでも見られる通り、闇野本人の感情が高まった場合にはちゃんと反発します。
円卓の望戸君も阿麻への感情から闇野に抗うことができますし、魂の支配による影響も本人の感情次第で揺らぐようです。
10月3週~
偵察範囲が拡大されます。通常とさほど変わりはありません。
12月2週~
アンドロメダと試合試合をし、ルミナちゃんに声をかけて来た相手に闇野が苛立ちを示します。闇野が打算も演技もなく他者を仲間としてかばう貴重なシーンです。
ショートカットの文章では、闇野の態度は「怒り」で表現されます。
ルミナちゃんを特別視しつつある好意や、それにちょっかいとかけられた苛立ち等、
素直じゃないとはいえ闇野が思ったままの感情を少し出せるようになっています。
1月3週~
偵察先の高校が不調になることにパワプロ君が違和感を抱き始めます。
御厨ちゃんはルミナちゃんの意見に賛同しますが、彼女が通常恵比留では闇野の意見に従いがちなことを踏まえると、ルミナちゃんに魂を所有されていることが影響しているのかもしれません。
4月1週~
新入部員が入ってきて、闇野が女子部員にイチャつかれます。
本気を出したらバットをへし折る筋力の女性に抱き着かれるという危機的状況です。
この一連の流れは、小さく弱い(と闇野が思っている)状態でも「闇野は愛されている」という情報を周囲の人間から闇野へ与えるために必要です。
他人の影響を受けうる状態の闇野だからこそ、その情報を素直に認識することができます。
4月4週~
マントルと練習試合をします。
基本的な流れは変わりませんが、特定条件下のセリフが強化恵比留(左)と通常恵比留(右)で異なっています。
強化恵比留での闇野は「怖いくらい」と自身の感情を口にしています。
6月4週でトゥルールートを選んだ際の展開を踏まえると、この時点でエビキャのエネルギーは不足しています。
そのうえ自分は元に戻る手段が分からないという何一つ「順調」ではない状況なのですが、通常恵比留のセリフを使いまわすと違和感があるため、差し替える必要があったのでしょう。
わざわざ追加したセリフで「怖いくらい」という通常時の闇野なら言わないだろう言葉が選ばれていることは、ストーリーを通じて闇野が自身の感情に対し素直になれていることの表れだと考えられます。
5月2週~
ルミナちゃんと御厨ちゃんの間にトラブルが発生し、闇野がルミナちゃんの影響を受けていたことに気づきます。
ルミナちゃんが魂のエネルギーから作られている幻であること、その魂の中には御厨ちゃんのものが入っていることが分かります。
御厨ちゃんの行動の理由については、おおよそ闇野の推測通りでしょう。
ルミナちゃんがダメージを受けて闇野に対する支配力が弱まったため、闇野が彼女の影響下から抜け出し、自分が見ていた幻の情報に気づきます。
しかし、ルミナちゃんが回復すると再び彼女の影響を受けるようになります。
魂の支配による作用だけではなく、彼女が闇野自身すらちゃんと認識できていない本当に求めている願いを叶えてくれる存在だからこそ抗うことができないのです。
5月3週~
偵察先の不調化に対してパワプロ君が抱いていた不信感が決定的なものになります。
闇野に疑問をぶつけますが結局答えはもらえません。
今回の闇野は1年時から自分の目的のために他者の魂を奪っており、闇野の想いから生まれたルミナちゃんはその情報を知っているはずですが、展開上の都合か知らないようです。
ルミナちゃんの所持する情報の範囲はイベントごとに微妙に異なるので、この場面も「闇野をかばってくれる」描写をいれるための設定ずれである可能性もあります。
6月4週~
地方大会を目前にして、みんなの様子がおかしいことにパワプロ君が気づきます。
ルミナちゃんもぼんやりしていますが、既にエネルギーの消耗による身体への影響が始まっていることを示しているのかもしれません。
闇野も、自身のメンタルの問題をついに自覚し悩んでいます。
ここで問題を放棄しようとせず、ちゃんと自分の気持ちを認識しようとしているあたり、この1年でずいぶん素直になったと思われます。
ランダムイベント
強化恵比留で発生するランダムイベントにもいくつか触れておきます。
集合写真を撮るイベント。
「従兄妹なのに写真が初めて」という点に矢部君が触れることで、本当の従兄妹でない二人の奇妙な関係を表しています。
トゥルールートへ進んだ場合は、両親に撮ってもらった写真同様に、この集合写真が闇野の大切な思い出の品になるのかもしれません。
闇鍋イベント。
ルミナちゃんは基本的に闇野の成すことに対して好意的な反応を示し、肯定してくれます。
ただし全面的な肯定ではなく、闇野の行動に問題がある場合はコンボイベント(右)のようにちゃんと叱ることもあります。
スマホの持ち主を探すイベント。
闇野がルミナちゃんに押し切られるシーンをパワプロ君が「親子」と表します。
ルミナちゃんは闇野の希望を全て肯定する訳では無いと分かります。
闇野が部員との関係に悩むイベント。
パワプロ君にちゃんと悩みを話しているあたり、闇野の精神的成長が垣間見えます。
先のスマホイベント同様闇野がルミナちゃんに押し切られるシーンが描かれており、私としては、二人の関係性には親子に近い描写が表現されていると思います。
闇野の精神的問題が両親の喪失に起源しているのであれば、「両親と一緒にいたかった」という親の存在を求める感情が闇野の中にあるはずです。
その欲求が闇野の想いから作られたルミナちゃんの行動に影響し、彼女と闇野とのやりとりが親子のような関係に見えるのかもしれません。
野球部の評判をアップしようとするイベント。
このイベントのルミナちゃんの言動は選択肢次第で相反しますが、左は握手会を実行するかについて闇野の気持ちが優先される状況であり、右は周りに協力して欲しいと頼まれたことを闇野が断るという違いがあります。
彼女には闇野の感情を優先し思いやる気持ちだけではなく、闇野に社会性を求める気持ちもあると考えられます。
つまるところ、ルミナちゃんは闇野の感情を尊重しながらも、自身の感情と周囲との折り合いをつける方法に闇野を導いています。
彼女は闇野を甘えさせてくれるが甘やかしはしない存在であり、そこから子供を育てる「親」の要素が感じられると言えるのではないでしょうか。
他校偵察に行くイベント。
これは闇野との関係よりも、ルミナちゃん個人の考え方を掘り下げているイベントです。
メンタルを鍛えるイベント。
ルミナちゃんは基本的に相手を「すごい」と認識しています。
(彼女自身のSRイベントで言う「リスペクト」にあたると思われます)
相手の現時点での強さを評価したうえで、上昇志向に好意的です。
【強さへの意志】を持つ闇野が現時点での強さに目を向けず進み続けようとする点を考えると、ルミナちゃんの考え方こそが、闇野が本来持つべき健全な努力姿勢だと言うこともできます。
トゥルールート(ルミナちゃんデッキ入り)
パワプロ君に、弱い心に向き合うよう背中を押して貰います。
これまでの闇野が、強い自分であるために弱い自分を拒絶していたことが「このオレに」という言い方からにじみ出ていると感じられます。
自分を強いと思うことで安心しようとしてきた闇野にとって、この強い自分が弱い自分を認めるというのは、安心を失い不安を生む行為です。
弱さを受け入れた方が良いのだろうと薄々分かっていても、すぐには受け入れられずに少し反発してしまったのだと思われます。
しかし、パワプロ君は「弱くても大丈夫」だと言ってくれます。
弱い自分が存在しても良いのか、強い自分じゃなくても許されるのかという不安が解消され、ちゃんと弱い心に向き合うことを決めます。
自分の弱い部分が存在しても大丈夫なのではないかという気持ちは、
ルミナちゃんをはじめとした他者の影響を受けやすい状況にある強化恵比留中の闇野であれば、これまでの1年で薄々感じ取っていたことだと思われます。
それでも不安をぬぐい切れず迷っていたところで、欲していた「自分は弱くても大丈夫」という実感をハッキリ言葉にして貰えたため、その価値観を安心して自分のものに出来たという印象です。
闇野は残ったエネルギーを自分のタイムリープではなく、ルミナちゃんの存在を維持するために使うことを決意します。
闇野が他人を思いやれるようになった点は成長の証ですが、この行動は100%ルミナちゃんを想ってのものではなく、自分のために動いている面もあります。
「ルミナちゃんと一緒にいたい」という自分の望みを叶えるための行動でもあるのです。
本当にルミナちゃんのことを想うのであれば、最初に彼女と話し合って解決策を探すべきです。
また、ここでエビキャのエネルギーが足りていませんが、強化恵比留期間中はエネルギーが不足する描写が8月や10月にも現れます。
1年間偵察をしてきてエビループするエネルギーすら手に入れて無いというのは考え難いです。
5月2週にルミナちゃんが勝手にソウルジェイルのエネルギーを吸収したように、偵察で手に入れたエネルギーをルミナちゃんが勝手に吸収しているから、強化恵比留中はエネルギーを貯めることが出来なかったと考えるのが妥当ではないでしょうか。
7月1週・地方大会~
以降の闇野は、彼女が存在し続けられるように魂のエネルギーを集めようとします。
強化恵比留 トゥルールート 地方大会決勝後◀ ▶左に同じ
精神二分の問題が解決していくことで、次第にその原因となった喪失恐怖が顕在化し始めます。
闇野は両親を失ったときの恐怖をまだ乗り越えられていません。
そのうえで、自分が「一緒にいたい」と思っているルミナちゃんが消滅してしまうかもしれない状況にあります。
闇野は今、両親と同じようにルミナちゃんを失ってしまうことを恐れているのです。
故に、その恐怖から何とか逃れようとする闇野が苦しそうに見えるのだと考えられます。
甲子園大会開幕
甲子園に来た闇野は阿麻と少し口論になります。
「やらくてはいけないこと」が示す候補はいくつかありますが、今の闇野はルミナちゃんのために魂のエネルギーを奪い続ける必要があるので、「ルミナちゃんの存在維持」として問題ないと思われます。
阿麻が闇野を「邪悪なだけではない」と評しますが、闇野が他者の魂を奪う行動は、
これまでは自分の「目的」のためという自己中心的で身勝手なもので「邪悪」と言われても仕方のないような行為でした。
しかし今は「ルミナちゃんのため」という他人を思いやる要素も含まれています。
その部分をもって「邪悪なだけではない」と評価されているのではないでしょうか。
甲子園2回戦後
闇野がルミナちゃんを維持するために他者の魂を奪っていたことが彼女にバレます。
闇野はルミナちゃんに「自分とずっと一緒にいて欲しい」と思っていますが、ルミナちゃんは闇野に「他人を犠牲にする手段をとって欲しくない」し、「自分を乗り越えて進んで欲しい」と思っています。
闇野がルミナちゃんを維持したいのは彼自身の願いでもあります。
つまり、ルミナちゃんのためという部分があったとしても、闇野が自分の目的のために他人を犠牲にする手段を選び続けることになってしまい、それでは強化恵比留前の身勝手な闇野と何も変わらないのです。
闇野の想いから生まれたルミナちゃんは、本人以上に闇野の気持ちを理解し、教えたくない弱さを知り、欲しい肯定を与えてくれます。
しかし、ルミナちゃん以外にそのような都合の良い相手はいません。
それに、人間とは出会いと別れを繰り返すものであり、寿命がある以上永久に相手と一緒にいることは出来ません。
それこそ、タイムリープでもしなくては。
「自分の理想をすべて満たしてくれる相手とずっと一緒にいたい」という願いは、これから人間として未来を生きる闇野のことを想えば、叶えてやることは出来ないのです。
故に、ルミナちゃんは闇野に対し、自分に頼り切りにならず乗り越えて先へ進むように促し、人と別れる悲しみの受け止め方を教えてあげねばなりません。
闇野の想いから生まれたルミナちゃんは、闇野が喪失恐怖を抱えていることを知っています。
闇野にとって、一緒にいて欲しい人がいなくなることがどれほど苦しいことなのかを
ルミナちゃんが分かっているからこそ闇野は右図の言葉をぶつけます。
「お前がいなくなったらオレがどれほど苦しいのか、もう知っているくせに。
オレのことを本当に大事に思っているのなら、
オレが苦しまないようにずっと一緒にいてくれるんじゃないのか」という心理だと思います。
喪失恐怖から逃げ続けて来た闇野は、それに対する年相応の向き合い方を学べていません。
故に、ルミナちゃんの意図を聞いて理性的に理解するより先に、「どうして」「いやだ」という自分の感情が先走ってしまっている、幼い印象を受けます。
それでも、ルミナちゃんは闇野と一緒にいることは出来ません。
もしこのまま闇野と一緒にいても、闇野は自分の理想を叶えてくれるルミナちゃんから離れられなくなってしまいますし、ルミナちゃんと自分のためにエネルギーを集めて他人を犠牲にし続けます。
闇野がちゃんと自分で自分を認めて肯定し、他人をちゃんと思いやれるようになり、出会いと別れを繰り返す「人間らしい生き方」が出来るようになるためには、ルミナちゃんとの別れを乗り越えなくてはならないのです。
また、闇野の喪失恐怖を知っているルミナちゃんは、自分がいなくなることで闇野を傷付けてしまうと分かっています。
だからこそ、闇野の気持ちを思いやり「ごめんね」と謝っているのだと思われます。
ルミナちゃんに諭されることで、闇野が喪失の恐怖を乗り越え始めます。
彼女の言う通り、闇野は弱くて強い存在です。
これまでの闇野は、弱さを切り離すことで強さを得ていましたが、その弱さを認めることを強さだと教わります。
別れを悲しむ気持ちを認め、受け止め、そのうえで先に進んでいくのが強さであり、ルミナちゃんは闇野にそういう「人間」になって欲しいのです。
ルミナちゃんの想いを理解した闇野は、ソウルジェイルを壊します。
魂のエネルギーが無くなることでルミナちゃんは近いうちに消滅し、闇野もエビループが出来なくなります。
彼女との別れを受け入れて、前に進むことを決意したが故の行動だと考えられます。
甲子園決勝後
甲子園決勝後、エネルギーが無くなったルミナちゃんは消えてしまいます。
彼女との別れを受け入れている闇野は、取り乱すことなく会話をします。
闇野は両親の荷物から子供時代の写真を見つけた話をします。
これまでの闇野にとって、両親との別れは向き合いたくない辛い記憶でした。
ルミナちゃんとのやりとりを経た闇野はこうして過去に向き合い、笑顔まで見せています。
闇野がちゃんと喪失の恐怖を乗り越えたのだと分かります。
両親と同じように、闇野はルミナちゃんを失います。
これまでの闇野ならば、苦痛を認められず別の結果を求めてループしていたかもしれません。
しかし、喪失への向き合い方を学んだ闇野はその恐怖から逃げ出さず、別れを悲しむ気持ちを否定せずにありのままに認め、そのうえで自分がどれほど想われていたかを事実としてちゃんと受け入れます。
闇野の想いから生まれたルミナちゃんは、彼の喪失恐怖と自己肯定の問題を癒し、
その結果として闇野は弱さを認める強さを手に入れました。
これから先の闇野は、自分の感情も得た出来事もそのままちゃんと抱きしめて、ルミナちゃんの想いの通り、弱くて強い「人間」として前に進むのです。
自分の願いを叶えてもらった闇野が、今度は他人の願いを叶えてあげた、とも考えられます。
ルミナちゃんが消えて魂のエネルギーが戻ってきた闇野は、元の大きさに戻ります。
ルミナちゃんがいなくなったことや、これまでの行動の真実を皆へ伝えようとしますが、御厨ちゃんの機転でごまかすことになります。
もしごまかさずに真実を話していれば、これまでの偵察で魂を奪ってきたことを皆に伝えることになります。
ソウルジェイルで得た力は他人を傷つけて手に入れたものだと教えることになり、皆を騙していた闇野が謗りを受ける結果になるでしょう。
闇野に裏切られ、魂を奪われ利用されていた御厨ちゃんには、彼を貶めて復讐するだけの理由があります。
闇野がこれまでのループで知っている、いつも通りの御厨ちゃんであるならば、闇野の想像した通り彼をかばわず復讐していた可能性が高いと思われます。
闇野の行動は決して許されるものではありません。
ですが、「許されるなら」という表現から分かるように、闇野も自分の非を認識しています。
それ故に、皆の前でちゃんと真実を話そうとしたのでしょう。
御厨ちゃんは、魂のエネルギーを返された際にルミナちゃんの想いを知りました。
闇野の未来を願うルミナちゃんの気持ちに免じて、闇野を見逃してくれたのです。
また、6月4週にパワプロ君から「弱くても大丈夫」と言葉にしてもらったように、御厨ちゃんから「ルミナちゃんは闇野のことを想っていた」と言われることで、闇野はルミナちゃんが自分を想っていてくれたこと、彼女がいなくなった後の世界にもその想いが続いていくことを実感出来ます。
そして、彼女の想いに背かないように、今後は正しく生きていくことでしょう。
エピローグ
エビキャは消えてしまいますが、闇野は自分の感情も事実もありのまま受け入れることが出来るようになったため、もう時を遡ってやり直すことも、人智を超えた力も必要ありません。
自分の強さも弱さも肯定できるようになった闇野は、人の好意を素直に受け取れるようになり、
出会いと別れをしっかりと受け止めて「人間らしい生き方」で未来へ進んでいけるのです。
トゥルールート(ルミナちゃん無し)
デッキにルミナちゃんが入っていない状態だと、7月1週時点からルミナちゃんの体調に異変が起こります。
魂のエネルギーが足りなくなったルミナちゃんは、地方大会決勝後に消滅してしまいます。
ルミナちゃんが消失した後の闇野は、魂が戻ってきたため元の身体に戻ります。
この後の阿麻とのやりとりやエピローグは大きく変化しませんが、以降の闇野は試合後の偵察行為をしなくなります。
「ルミナのためにも」という彼女に気を配った言葉からも、ルミナちゃんがデッキに入っている場合は甲子園2回戦後に行われる二人の会話に類するものが、デッキに入っていない場合は地方大会決勝より前に行われていると推測することができます。
身体が元に戻った後の闇野は、デッキ入りトゥルールートにおける甲子園決勝後のような、ありのままの自分を受け入れ喪失恐怖を乗り越えた状態に近くなっています。
ただし、デッキに入っている場合と比べると、闇野が事実を話そうとしてくれません。
まだ甲子園が始まっておらずチームの指揮を落としたくない意図もあるのかもしれませんが、ルミナちゃんがデッキに入っているルートの方が、闇野の生長度が高いと思われます。
甲子園決勝後
甲子園決勝後の闇野から上のようなセリフを聞くことが出来ます。
闇野が手段を選ばないならば、ルミナちゃんと一緒に甲子園に来られるまでエビループしてやり直すことだって出来ます。
しかし、喪失恐怖を乗り越えた闇野は「ルミナちゃんがいなくなった」という状況を受け入れています。
そのうえで、彼女がいない寂しさを認め、自分の感情を話すことができているのです。
エピローグ
この後のエピローグはデッキ入りの場合と同じです。
これからの闇野は、事実や自分の気持ちを受け入れ、未来へ進むことができます。
バッドルート
パワプロ君に、弱い心を決別するよう叱咤されます。
強化恵比留下の闇野は他者の影響を受けるため、彼に「強くあって欲しい」と言われることで、周りからも強い自分でなくてはいけないと思われているという誤った情報を得てしまいます。
これまでの闇野は、弱い自分を拒否し、強い自分しか認められませんでした。
「強い自分なら存在して良いはず」という考え方にも不安があり、それ故に抱えた自己肯定の問題によりルミナちゃんが発生してしまったと私は考えています。
パワプロ君の言葉によってその不安が解消されてしまい、「弱い自分を否定して、強い自分であり続ければ自分は存在しても大丈夫」という間違った確信を得てしまったのだと思います。
だから闇野は、不安が取り除かれたことで、吹っ切れたような様子になったのでしょう。
闇野はルミナちゃんを自分の弱さだと考え、彼女を消すことで「存在しても良い強い自分」を確立しようとします。
「みんないなくなってしまう」のが苦しいのに、その苦痛を認めず自分から切り離して、強さを求めることで間違った安心を得ようとする。
闇野の抱えている問題が再露呈したような展開となります。
今の闇野は、弱さの無い強い自分だけが、自他ともに存在を許される対象だと思っています。
ルミナちゃんは自分の弱さであり、彼女がいる限り、自分は誰からも存在を許されないという苦痛が発生してしまいます。
闇野が安心するためには彼女に消えて貰わねばならないのです。
ルミナちゃんは、上の言葉を残して消えてしまいます。
文字数から推測するに「いっしょにいられなくてごめんね」でしょう。
闇野が抱える諸問題の原因は両親を失ったことによる喪失恐怖ですが、それは「自分と一緒にいて欲しい」という願いが壊れたショックだと言い換えられます。
「一緒にいて欲しいのに、どうしていなくなってしまうのか」という闇野が心の底に抱えている悲しみを癒してあげられず、
その悲しみを得た時と同じように自分も闇野の前からいなくなってしまうルミナちゃんが残された時間でその苦痛を少しでも和らげてあげるためには、
傷付ける側の立場から「いっしょにいられなくてごめんね」と謝ることしかもう出来ないのだと思われます。
ルミナちゃんから魂が戻ってくるので、ろくに問題を解決していませんが闇野はこの後元の身体に戻ります。
ルミナちゃんを消すことで、闇野は自分が弱さを克服したと主張します。
しかし、本当に闇野の弱さは消滅したのでしょうか。
6月4週のセリフにあるように、闇野は自分に弱い心があったことすらろくに気づいていませんでした。
弱い心が消えて無くなったのではなく、強化恵比留前と同じく強い闇野が拒絶する領域へ押しやられただけであって何一つ状況は改善されていない可能性すらあります。
ですが、闇野には「弱さのない強い自分」という自己肯定が出来上がってしまいました。
故にルミナちゃん(=自分の弱さ)に触れられると怒り、強い状態こそが本当の自分だと言うようになってしまいます。
強い自分しか認められなくなった闇野は、もう【強さへの意志】から逃げられません。
強さを失った途端、自分の存在が誰からも許されなくなってしまうからです。
自分の強さのために他人の魂を奪い、人智を超えたエビキャの力でやり直し続ける闇野は、もうトゥルールートでルミナちゃんが望んでくれた「人間らしい生き方」は出来なくなります。
どのくらい強ければ良いのかの指標も無いのですから、止まることなど出来ません。
闇野が存在し続けるためには、ずっと強くなり続けなくてはならないのです。
結局、そのままさまよい続けた先が強化円卓のような世界線になるのではないでしょうか。
最後は見た目も誰なのかさえ分からないほどアイデンティティを失い、作ったうわべさえ消費され切ってやっと残った本心に気づく有様になってしまいます。
それでも、強化円卓でも最後には自分を犠牲にしてもパワプロ君を助けてくれるように、闇野は根っからの悪人ではありません。
ちゃんと自分の弱さに向き合えていれば、別の未来もあったのです。
終わりに
以上のように、強化恵比留のストーリーを見てきました。
結果として、闇野には2種類の結末が用意されていたのだと思います。
◆自分の弱さに向き合い、喪失恐怖を克服した闇野はちゃんと未来へ歩んでいける
◆自分の弱さを否定した闇野は、力への意志により今後もループし続ける
闇野が人の意見を受け入れるようになった状況だからこそ、プレイヤーの選択でどちらに転ぶこともあるのが切ないですね。
最後まで読んで下さって、ありがとうございました。
これからも何かしら情報が出てくることはあると思っていますので、その際はまた記事にしてみたいものです。